“萬願成就”御礼参宮
平成28年8月号掲載去る6月27日(月)、本部大祓大祭の翌日、私は10074人のお名前が記された「伊勢神宮萬人参り心参芳名簿」を捧持した随行と共に、伊勢の神宮に参拝しました。
黒住教立教二百年大祝祭を中心とした4年がかりの“祭り年”を、まさに“満願成就”にて事終えた御礼奉告参拝であった「伊勢神宮萬人参り」ですが、2月半ばという寒さへの不安と雨模様の天気予報の影響により、実は「萬人」とは言い難い「現参(現に参拝すること)」の状況でした。「団体参拝も楽しく有り難いけれど、お孫さんと一緒に三世代での参宮を…!」と呼び掛けた「家族参拝」のおかげをいただいた方も多くいらっしゃいましたが、それでも“満願成就”と表現するのは控えておりました。
「萬人」という人数に執着しすぎるのは良くないことと心得ながらも、新たなご神縁むすびと後継者づくりが容易ではない今の時代に、「ここでしっかり頑張っておくことが大切」と本部当局で話し合って、あらためて「心参(心で参拝すること)」の報告を呼び掛けていました。
ただ、通常の本部祭典においては慣例化している現参と心参のご案内ですが、今までの「伊勢神宮萬人参り」で「心参」を取り進めた例はなかったことと、所長各位が「単なる名簿集めにしては申し訳ない…」と真摯に取り組んで下さったこともあってか、「芳名簿」の回収には思いのほか時間がかかりました。しかし、結果的にはまことに有り難いご神慮をいただき、当初から予定していた大祓大祭の翌日の参宮直前、すなわち大祭当日に「一萬人」の芳名に達し、まさに“萬願成就”となりました。
豪雨が続いた今年の梅雨の最中とは思えない“日本晴れ”の6月27日、「黒住教副教主 黒住宗道 捧持萬人参り芳名簿」と記帳して内宮御垣内参拝のおかげをいただきました。私は、有り難いことに御垣内の中重鳥居をくぐってさらに奥に進んだ内玉垣南御門前の最上位の場所まで案内され、そこで二拝二拍手一拝の正式参拝をさせていただきました。玉石を踏みしめながら、「いま、5年間にわたった大きな節目を有り難くつとめ終えることができた…」という厳粛な思いを強く深く感じて胸が熱くなりました。教務総長として全責任を負い、そして二百年大祝祭と神楽岡および大元の宗忠神社の記念祝祭で斎主を仰せつかった一切の“任務完了”を、心からの感謝とともに実感した瞬間でした。
思えば、伊勢志摩サミットに集ったG7の首脳方が同じ内宮御正宮の内玉垣南御門前で拝礼(報道では“表敬”と表記されましたが、方々は深々と一礼されているので、明らかに“拝礼”です)されたのは、ちょうど一カ月前の5月26日のことでした。聞いた話ですが、サミット最初の実務会合であるはずであった「ワーキングランチ」は、神宮の神聖さに心洗われた首脳各位にとって「世俗の話は後で…」と言わんばかりの、食事と景色を純粋に楽しんだ和やかな昼食会-まさに御直会-だったようで、サミット後の米国大統領による初の広島訪問に連なる今回の歴史的な首脳会議は、「お伊勢さまのおかげをいただかれたに違いない…」と、確信しています。
その丸々一カ月後であった今回の“萬願成就”御礼参宮は、私にとって一層忘れられない、特別な神宮参拝となりました。