「教区開運祈願祭」

平成27年2月号掲載

 まず、老舗(しにせ)の宗教専門紙「中外日報」に「“サン世紀”」と題して寄稿した今年の年頭所感を掲載させていただきます。

『昨年、私たち黒住教は立教二百年を迎えました。まずは、多くの方々から賜りましたご祝意に対して、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。まことに有り難うございました。「いよいよ立教三世紀…」との思いで、心新たに迎えた平成27年の幕開けです。
 黒住教教祖黒住宗忠は、安永9年(1780)の冬至の日に生を受け、文化11年(1814)の冬至の日の出を拝して神人一体の境地に至りました。その教えは、昇る朝日に顕現する天照大御神を一切万物の親神として崇(あが)め、“日の御(み)徳”の中であらゆるいのちが共に生かされて生き栄えていることに感謝の祈りを捧げ、天照大御神の分心(ぶんしん)(心の神)の鎮まる人の心をいかに祓い清めて養うかを説き明かした“日の教え”です。
 “日の御蔭”をいただいている有り難さを一人でも多くの方に伝えて、意気 “陽々”と開運の人生を送ってもらえるように、 “サン世紀”を歩ませていただきたいと願っています。』

     ○             ○     ○             ○

 お道づれの皆様には、今さら申し上げるまでもないような本教の基本認識ですが、“お日様教”と名乗れるほど “日神(ひのかみ)”を中心にその信仰と歩みを語り切れる宗教は、世界でも黒住教だけと申し上げても過言ではありません。無限の宇宙空間の中で唯一いのちに溢(あふ)れる太陽系の地球という奇跡の星の中で、古来 “日の本つ国”と称(たた)えられてきた日本の “晴れの国・岡山”を拠点に、“お日の出の郷(さと)・神道山”で毎朝欠かさず日拝に始まる祈りの日々を続けてきた本教が、いよいよ “サン世紀”を迎えたのです。自らが何者であるかを他者に伝えるために必要不可欠とされるアイデンティティー(自己の存在証明)が、私たちには明確に存在している有り難さを、どうぞ心に刻んでおいていただきたいと思います。

 大層な話になりましたが、“サン世紀”の本教にとって最大の課題は、“人づくり”すなわち、人材の確保と育成です。次世代を担うお道づれへの “信仰のバトンタッチ”と、とりわけ青壮年層を対象にした “新たな御神縁結び”こそ、この時代の最重要事項と心得なければなりません。何故(なぜ)なら、全国的な地縁・血縁の薄れ、伝統文化の廃(すた)れ、そして激化する一方の都市への人口集中と地方の過疎・高齢化の厳しい現実は、本教が「立教三百年を果たして迎えられるか…?」というほどの大問題でもあるからです。今までのような、後ろ姿と日常生活だけでは信仰が受け継がれない時代に、本教の有り難さをいかに伝えるかを真剣に考えて、“人づくり”に励まなくてはいけません。

 今年からの新たな取り組みの一つとして、私は全国を教区単位で一巡する「教区開運祈願祭」を毎年つとめて、教会所単位では困難な諸問題を教区で協力して対応してもらいたいと願っています。
 あくまでも「開運祈願祭」ですから、まずは天照大御神様、ご一体の教祖宗忠の神様、そして八百萬(やおよろずの)神々に、立教以来二百年の神恩への“感謝の誠”を捧(ささ)げて、これからも変わらぬ一層のご加護とお導きを願い奉(たてまつ)るとともに、「天照らす神の御徳を世の人に残らず早く知らせたきもの」との教祖神の御(ご)聖願(せいがん)達成に向けた決意と誓いを心新たに奏上し、以(も)ってお道づれ各家の開運、教会所の弥栄(いやさか)、教区の発展を祈らせていただきます。この教区単位での全国巡拝を毎年続けることによって、地域の活性化が少しでも促進されることを期待しています。私の新たな教区巡拝を、最大限に活用していただきますよう、よろしくお願いいたします。