「誠之道」→「道端感謝」→「道の緒(いとぐち)」→
「学びつとめよう“五つの誠”」という“教えの道”

平成25年9月号掲載

 お道づれの皆様には、今年2月に発行された「誠之道-黒住教の教えの基本-」という小冊子をお読み下さったでしょうか? 本誌の「御教えをいただく」で毎月学ばせていただいている教祖宗忠神の御教えを分類整理して、できるだけ分かりやすく体系的にまとめた黒住教の概略入門書です。
 本文中でも記しましたが、まずは太陽、とりわけ昇る朝日に顕(あらわ)れる天照大御神が森羅万象すべての本(大元)で、その「ご神徳(日の御徳(みとく))」は天地に満ち渡り、あらゆる生命(いのち)を生かし育(はぐく)む、限りない恵みであること。次に、私たち人は、心の奥深くに“お日様”をいただく尊い神の子で、“わが心の神”である「ご分心」を確信して、感謝と感動の“みきの心”で「誠」を尽くすことが、黒住教信仰の最重要徳目であること。さらに、日本人が古来大切にしてきた「誠」の本体は「天照大御神の御心」で、天地自然の調和と循環を表す「まること」の核心(もとの心)を共に祈ることによって、「おかげ(日の御蔭(みかげ))」は誰もが必ずいただけること。
 このように、教祖神が説き明かされた「誠の教え」の大筋を理解すると、「ご分心」のご座所であり「おかげの受け皿」である“わが心”を、本来の“お日様”と一つになるように養い活(い)かすことが「心なおしの道」・「養心法」・「用心法」と称(たた)えられてきた黒住教の修行であることが納得できます。
 なればこそ、「日拝修行」・「お祓い修行」・「御陽気修行」を“三大修行”と重んじ、信心は「孝心(孝行の心)」という確信を持って信仰に励むことや、我欲や我執や迷いという罪(積み)・穢(けが)れ(気枯れ)を祓い清めることが大切であることを分かっていただけると思います。
 最終の【第十八講】で、本教は「誠が道」ということが説き明かされた「誠の道」だから「誠之道」であると記しましたが、この「道」の何たるかを踏まえて、既刊の「道端感謝-豊かな心は“気づき”から-」と「道の緒-開運のためのキーワード-」を、読者各位に再読していただきたいと願っています。
 この度、上記2冊の再版の機会を得て加筆・修正を行ったのですが、「道端感謝-豊かな心は“気づき”から-」は、大きな項目を「惟(おもんみる)」・「慮(おもんぱかる)」・「拠(よりどころ)」と改めました。「惟」は「唯」に通じる言葉で、深く思考することで現在只今(ただ いま)がいかに掛け替えのない唯一無二の大切な時と場であるか、すなわち「一切神徳(全ておかげさま)」を示唆(しさ)しています。この度、英語のタイトルは削除しましたが、「Think(考える)」と「Thank(感謝する)」の語源は同義(同じ意味)なのだそうで、洋の東西を問わず真理は一つとの思いを強くしました。次の「慮」は広く思いやることで、人は分かち合い、支え合い、助け合わなければ生きていけないという「Act(行動する)」の動機づけを示しており、その原点となる自分自身の立脚点としての「拠」こそ、「ご分心」をいただく人(日止・日倶)という本教の教えの神髄を意識してもらう切っ掛けになればと思っています。
 そして、3冊の中では最初に発行された「道の緒-開運のためのキーワード-」が、本教の教えが大局的に分類された「よりよく生きるための“五つの誠”」への導入書で、ちょうど10年前に発行された「学びつとめよう“五つの誠”」とともに、教祖神の御教え(御歌・御文)や御逸話(ごいつわ)、そして教団の諸活動を具体的に学び修めて、共に世のため人のために誠を尽くすための手引書にしていただきたいと願っています。
 内外の多くの方から「天下の名教」と称えられ、「神道の教えの大元」と称されてきた黒住教信仰にさらなる誇りと自信を持って、いよいよ間近に迎える「立教二百年大祝祭」に邁進(まいしん)してまいりましょう!