国際貢献トピア岡山構想のめざすもの
RNN(アールエヌエヌ)(人道援助宗教NGOネットワーク)の可能性④ 

平成24年10月号掲載

 RNN(人道援助宗教NGOネットワーク)の活動を紹介する上で、欠かせない取り組みの一つが「ヒーリングコンサート-癒しと祈りの和奏会-」です。異なる宗教・宗派が和して平和を祈り、それぞれの伝統的な宗教音楽によって和みを奏でる癒(ヒーリング)しの音楽会を、RNN主催で今までに計8回行ってきました。
 第1回は、岡山空襲から60年目の平成17年6月29日に、犠牲者の追悼と平和を願う祈りの実践として7団体の協力によって開催しました。
 イスラームの経典クルアーンの一節で礼拝の始まりを告げる「アザーン」が、岡山カトリック教会の聖堂に朗誦(ろうしょう)されてコンサートは始まり、次が黒住教の吉備楽でした。厳粛な「菅掻(すががき)」の音(ね)が堂内に響き渡り、管絃「四季の気色(けしき)」の「春」と舞楽「御神楽(みかぐら)」の「男舞(人長舞(にんじょうまい)」の代表的な3曲が演奏されました。続いて、同じキリスト教でもプロテスタントによる讃美歌の合唱、真言宗による声明(しょうみょう)、そして金光教の吉備楽。“明治時代のニューミュージック”という説明からも明らかなように、金光教の吉備楽観は本教とは趣(おもむき)を異にしていて、両者の違いを味わうこともできました。さらに、天台宗による声明、最後にキリスト教・カトリックによる聖歌「レクイエム(鎮魂歌)」が捧(ささ)げられました。
 第1回のコンサートでは、事前に公募した「平和」を題材にした歌詞の中から、教主様にも加わっていただいた厳正審査によって最優秀作品が選出され、音楽学部の大学教授がメロディーを付けたオリジナル曲として発表して、最後に全員で大合唱するという趣向も凝らしました。受賞曲「PEACE(ピース)」は、女子中学生(当時)による若々しく溌剌(はつらつ)とした作品でした。
 マスコミ各社からも注目されたこのコンサートですが、日本経済新聞文化欄の「文化往来」(平成17年7月7日付)では「地方都市の良さが表れた好企画」と全国紹介され、メンバーにとって大きな励みとなりました。
 以来、複数の異なる宗教・宗派による演奏会(和奏会)を「RNNヒーリングコンサート」と称して、「第2回グレゴリオ聖歌と天台声明の融和の夕べ」、「第3回 倉敷王子ライオンズクラブ35周年記念」、「第4回 RNN10周年記念」、「第5回 日韓宗教研究フォーラム 第4回国際学術大会記念」、「第6回 宗教者九条の和 第5回シンポジウム平和巡礼in広島」、「第7回 ハイチ、チリ、中国青海省など、世界各地で続発した大きな天災で亡くなった方々への慰霊と復興を祈る集い」、そして「第8回 第33回世界連邦平和促進全国宗教者岡山大会」と、開催の回を重ねてきました。
 とりわけ、昨年11月29日に、神道山・大教殿の御神前を舞台に初めて行われた第8回のコンサートは、第1回と同様の規模で開催することができ、全国各地から参加して下さった世界連邦日本宗教委員会の委員各位に、地域に根差した宗教協力の実例としてのRNNの存在を紹介することができました。なお、このコンサートを聴いていただいた方々には、第1回を記念して発表されたオリジナル曲「PEACE」のCDを記念品としてお持ち帰りいただきました。また、後日談ですが、この第8回のコンサートが切っ掛けになって、真言宗僧侶による御詠歌が京都府神社庁の創立60周年総会で披露されるという、新たな宗教協力に発展しました。
 かつて、「RNNヒーリングコンサートは“コロンブスの卵”」と評していただいたことがあります。宗教協力の実践としては決して難しい内容ではないにもかかわらず、前例のない活動だったようです。諸宗教が協力して、多くの人々の心を癒し和めて、結果的に宗教に対する信頼回復の一助にもなればと期待しています。