国際貢献トピア岡山構想のめざすもの
RNN(アールエヌエヌ)(人道援助宗教NGOネットワーク)の可能性①

平成24年5月号掲載

 RNN(人道援助宗教NGOネットワーク)は、本稿先月号で紹介いたしました「第3回 おかやま国際貢献NGOサミット」(平成8年11月開催)を機に発足した、主に岡山県内の諸宗教(現在、神道、仏教、キリスト教、イスラームなど、12の宗派・教団が加盟)による協働連合体です。今年で発足16年目を迎えていますが、「祈りに基づく行動と行動を伴う祈り」を共通理念に、宗教間対話と宗教協力による人道援助活動を地元岡山から推進するべく、スタディーツアー(研修旅行)、フォーラム(公開勉強会)、被災地復興支援、緊急救援、慰霊・復興・平和を祈るヒーリングコンサート(「和奏会」と命名)等を行ってきました。特に、国内外での災害時の緊急救援に関しては、本教とご縁の深い国連認定の医療NGOであるAMDA(アムダ)の出動と同時に、構成メンバーの寺院・教会・教会所等の施設に募金開始を呼び掛ける緊急通知を発信して、迅速な支援活動を展開してきました。
 RNNには、会則も会費もありません。約束事や資格で束縛するのではなく、各自の意思による行動で地道に実績を重ねながら、信頼と連帯の絆を築いてきました。
 発足当初はメンバーからも、「(自分は)どういう立場で参加したら良いか…」とか「まずは会則を…」という質問や意見を何度も受けましたが、私は「共に行動して足跡(そくせき)を残しながらRNNを育てて行くうちに、参加の基準は二の次になり、自然とルールもできてくる…」と信じて、「人道援助」という同じ目的に向かって歩むことを最優先にしてきました。
 RNNを説明するときに、今でも紹介する例え話があります。
 「池に落ちた子供が目の前で溺れ掛けている時、落ちた原因や理由を詮索する前に為(な)すべきことは、極めて当然のことながら、まず子供を救うこと。たとえ信じる教えが異なっても、同じ救済の心を持った宗教者(または信仰者)であれば協力した方が良いに決まっている。もしも原因や理由の解釈が異なるのであれば、救い出した後で各自でどうぞ…」。
 いずれにしても、構成メンバーが異なる宗派・教団に所属する宗教者(および信仰者)で、しかも、私のような教団を代表する立場の者もいれば、寺院や教会等の施設の責任者やそこからの派遣者、さらには一信仰者という個人までと様々(さまざま)ですから、どうしても緩やかな連合体にならざるを得ないのです。実は、だからこそ、特に重んじてきたのが、毎月の定例会議です。先月で177回目を数えたRNN定例会議は、RNN全体で行う活動内容を決めるための決議機関ではなく、各メンバーからの提案と協力依頼が自由に話せる協議の場(テーブル)というのが特色です。
 会議の進め方は、名付けて“この指とまれ方式”。事務局長の私が進行役をつとめますが、必ず提案者が責任を持って企画を出して理解と賛同を求め、構成メンバーが各自の所属団体や組織の活動の妨げにならない範囲で、自らの意思で参加・協力するしないを判断し、賛同したメンバーでプロジェクトを推進するという方法です。定例会議で話し合われた会議録は、その都度メンバー全員に電子メールかファックスで伝えられ、欠席者からの意見も常に反映されるようになっています。
 発足から16年、そして定例会議を180回近く開いているとさすがにお互いの“間合い”が分かってくるもので、メンバー一人ひとりがRNNという“ 神輿(みこし)”を、熱い思いを込めて自発的且(か)つ積極的に担いでくれていることを有り難く尊く感じています。