映画「地球交響曲(ガイアシンフォニー)第7番」について

平成22年10月号掲載

 本誌先月号に転載させていただいた「中外日報」(総本社・京都市)の紙上対談「逢(あ)えてよかった」で紹介された映画「地球交響曲(ガイアシンフォニー)第7番」について、もう少し詳しく述べておきたいと思います。
 「地球は、それ自体が一つの生命体である」という「ガイア理論」をテーマに、各界で卓越した実績や経験を積み重ねてきた世界的な人物へのインタビューを通して、「人類は、この地球上で生かされて生きている」ことを、美しい映像と音楽で綴(つづ)る心洗われる感動的な映画、それが「地球交響曲」です。副教主就任記念として出版した「生かされて生きる使われて踊る」(産経新聞東京本社発行)の中でも、《「映画」命の鼓動伝える「地球交響曲」》と題して紹介していますが、この映画は、平成4年(1992)に初作である「第1番」が公開されて以来、主に自主上映によって人から人へと感動が伝えられてきて、このたび最新作の「第7番」が完成したのです。
 映画監督の龍村仁氏は、かつて京都大学在学中に所属したラグビー部の先輩諸氏がハンドボール部の“黒住宗晴先輩”と懇意であったことから「以前から黒住さんのことは存じ上げていた」と言って下さるご縁のある方です。そのご縁が一層深まったのは、平成7年(1995)にチベット仏教のダライ・ラマ14世法王を本教が招聘(しょうへい)責任教団として迎えた際、東京での招致委員会の中心メンバーとして私を支えて下さったからでした。もちろん神道山にも参拝されたこともありますし、平成18年の「黒住教東京開教130年・東京大教会所ご遷座70年記念祝祭」に際しては、「凛(りん)とした霊性」と題した祝辞(本誌平成19年3月号に転載)を寄せて下さっているので、ご記憶の方もいらっしゃるかと思います。
 最新作「第7番」の登場人物は、『人はなぜ治るのか』などの世界的ベストセラーの著者で、伝統医療と現代医学との「統合医療」を実践するアンドルー・ワイル米国アリゾナ大学医学部教授と、1986年の自転車レース「ツール・ド・フランス」の覇者で、翌年不慮の事故で全身に散弾銃を浴びて瀕死(ひんし)の重傷を負いながらも克服し、89年に再び奇跡の優勝を果たした米国人のグレッグ・レモン氏、そして北極海横断やアマゾン川カヌー下りなど多くの冒険で得た智慧(ちえ)を子供たちに伝えている日本人の環境教育活動家高野孝子女史の3人です。いずれも、実践者・体験者ならではの味わい深いメッセージが語られますが、同時に、今回の重要な主題は日本の神道の世界観で、古来大いなる自然の中に尊き神々のはたらきを見出(いだ)して敬ってきた日本人の智慧が折にふれて紹介されています。実は中外日報の紙上対談の冒頭、龍村監督が「日の出がたくさん登場したでしょう…」と微笑(ほほえ)んで下さったのですが、いのちの大元の象徴として世界各地のお日の出が何度もスクリーンいっぱいに広がります。また、特別の許可のもと、伊勢神宮の神事も見事に映し出されており、先日神宮の会館で上映会も開かれたようです。
 全国ロードショーのように何処(どこ)でも観(み)ることはできませんが、新聞広告やインターネット等で調べると各地での公開予定が分かりますから、「地球交響曲(ガイアシンフォニー)第7番」をぜひご覧になっていただきたく、ご案内を申し上げた次第です。