「おもしろラジオ講座」①

平成22年7月号掲載

 副教主様には、去る5月3日午後10時から放送された「アンクル岩根のおもしろラジオ講座」(山陽放送ラジオ:本社岡山市)に出演して、英国留学中の思い出から日本の宗教者を代表して出席した平和会議のこと、さらにはいのちの尊さについての話など、様々(さまざま)な話題を持ち前の明るい口調で語られました。元山陽放送アナウンサーで現山陽学園大学客員教授のアンクル岩根こと岩根宏行氏と、岡山の地域月刊誌オセラ編集長の中山美香女史とのトーク(対話)の要旨を紹介させていただきます。
 なお、昨年1月には教主様が同番組に出演なさっています。(本誌平成21年4・5月号「道ごころ」参照)
(編集部)

中山: きょうのお客様は、黒住教副教主黒住宗道さんです。

岩根: こんばんは。本日はよろしくお願いします。実は、私たちは去年、御日拝にお参りさせていただきました。

中山: それまで日の出にちゃんと向き合ったことがなかったので、心を正す厳粛なひとときとなりました。

岩根: 黒住さんは、お父様であられる教主様と毎朝拝んでおられるんですね。

黒住: はい。私たちにとって、御日拝は最も大切な祈りの時間です。壮大な日の出を迎え拝むために、昭和49年に神道山に遷(うつ)り上がってまいりました。

岩根: 神道山に遷って、もう36年なんですね…。本日は、いずれ七代目の教主になられる黒住宗道さんをお迎えしていますが、宗道さんは、大学を出てから留学されていたそうですが、どちらに留学されましたか?

黒住: イギリスのロンドン大学に二年ほど行かせてもらいました。

中山: イギリスを選んだ訳は、どうしてなのですか?

黒住: 自分の国の歴史や伝統への誇りと思い、そういうものを強烈に持っている“西の果ての島国”じゃないですか。“東の果ての島国”である日本が見失っているものを感じたかったからです。

岩根: 二十代の二年間ということで、ご自身の中で大きな影響がありましたか?

黒住: 一番大きな宝物というか、かけがえのない体験をさせてもらったと、今も感謝しています。

中山: イギリス人の信仰心といったものに触れる機会はありましたか?

黒住: そうですね、日本での学生時代に宗教について尋ねられることは全くありませんでしたが、海外では自分のアイデンティティーとして自らの信仰を語ることはよくあるんですよ。私の場合、宗教家の家に生まれ育ったわけですから「分からない…」では通りませんし、良い機会だと思ったので、それなりに答えられるように多少なりとも準備して渡英しましたから、友人たちとの宗教談義はしょっちゅうでしたね。

岩根: それが日本の神道の話であり、黒住教の教えということになると思いますが…。

黒住: はい、私はとにかく神道のことを伝えるようにしました。日本の伝統的な信仰の習慣と言える神道のおおらかさと、天地自然の中に尊い神のはたらきを見出(みいだ)して手を合わすという神道の宗教観を伝えることが大切だと、当時から思っていました。

岩根: その時に、例えば友達同士、あるいは先輩と一緒に食事などする時に、貴(あなた)方が七代目ということで、宗忠様がどんな方だったかというお話はされたのですか?

黒住: 黒住教教祖である宗忠の話をすることが目的ではなく、日本の神道を説明するために黒住教の教えや宗忠の言動をひもとくということはよくありました。

岩根: でも、宗忠様が日拝の時に朝日が体に降りてきたという話などはすごいエピソードなので、そのような話を紹介されたのかと思いました。

黒住: そこのところは、私たち黒住教を信仰する者にとっては黒住教立教を語る上で欠かせない話ですが、その瞬間の“奇跡的な話”を紹介するよりも、宗忠が悟った「全(すべ)てのいのちの親神が、昇る朝日に顕現する」という神観を通して、日本人が古来「お日さま」とか「お天道さま」と称(たた)えて手を合わせてきた信仰の伝統を話す方が、文化的背景の異なる友人たちには新鮮に響くと思っていました。いわゆる太陽信仰というものは、太陽系の地球にはかつてどこにでもあったはずですが、恐怖の対象とは真反対の豊かな恵みをもたらす母親のような存在としての太陽信仰が、世界有数の科学技術立国である日本に今なお受け継がれていることは、かなり驚きをもって聞いてもらえましたよ。

岩根: そういう日本の宗教の特質を、宗道さんは世界の宗教者の平和会議に出て今も話していらっしゃいますね。

黒住: それこそイギリスに行かせてもらって得た経験が、そっくりそのまま活(い)かされています。世界にはいろいろな宗教者の集まりがあって、私もいくつかの信頼のおける会合させてもらっています。
(以下次号)