「共にすべてのいのちを守るためのキャンペーンARMS DOWN(アームズダウン)!」について
平成22年5月号掲載
先月8日、チェコの首都プラハで米国とロシアの両首脳が新核軍縮条約に調印し、続く12、13日には「核安全保障サミット」が米国のワシントンで開かれ、今月3日からは5年に1度の「NPT(核拡散防止条約)運用検討会議」という国連会議が、ニューヨークの国連本部で本番の時を迎えます。
私は平成19年と20年の2年にわたり、それまでも毎年日本で行われてきた「国連軍縮会議」の第19回と20回会議に、公式出席者として発言の機会をいただき(本誌平成19年10月号をご参照下さい)、また平成20年の4月には、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で開かれた「NPT運用検討会議準備会議」に日本の宗教者を代表して出席し(同20年6月号)、国家間交渉の現実の一端を目の当たりにさせてもらいました。理想だけでは解決できない平和実現の難しさを、わずかでも垣間(かいま)見ることができたことは貴重な経験で、有り難く思っています。それだけに、素人の発言は慎重であらねばならないと思っていますが、昨年9月号の本稿で述べましたように「核兵器に対して断固否定する姿勢を貫かなければならない義務と責任が、世界で唯一の被爆国である私たち日本人には課せられている」と確信しています。その意味で、昨年4月に「核兵器のない世界」を訴えたオバマ米大統領のプラハ演説に賛同するとともに、今年の一連の核軍縮の動きが、たとえ「長い道のりの一歩」には違いなくても、確かな前進であってもらいたいと心から期待しています。
私がたびたび国際的な舞台に立たせてもらっているのは、WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会の非武装・和解委員会の一員としてのつとめを担っているからです。実は、このWCRPの呼び掛けで「共にすべてのいのちを守るためのキャンペーンARMS(アームズ) DOWN(ダウン) !」という署名運動が、現在世界的規模で推進されています。これは、平成18年の夏に京都で開催されたWCRP第8回世界大会で、100カ国から集まった800余名の宗教指導者が賛同した「共有される安全保障(Shared シェアードセキュリティーSecurity)」すなわち「自分の幸せや安全・安心というものは、他者の幸せや安全・安心が確保されてはじめてなされる」という考えに基づいて、今秋まで展開されている平和と安全に向けたキャンペーンです。
この第8回世界大会において、私は「武器拡散、軍縮、安全保障」作業部会でラポーターという“まとめ役”を任され、「共有される安全保障」の提言者の一人として、平成20年の「平和のために提言する世界宗教者会議~G8北海道・洞爺湖サミットに向けて~」では、公式提言書を当時の福田康夫首相に提出するために官邸を訪れました。
今まで、折に触れて本稿で紹介させていただいてきた平和への取り組みに、お道づれの皆様のご理解とご協力をお願い申し上げる次第です。以下に運動の趣旨を紹介しておきます。
「共にすべてのいのちを守るためのキャンペーンARMS DOWN(アームズダウン) !」
・核兵器の廃絶
・クラスター爆弾や地雷などの通常兵器の増産、誤用の停止
・全世界の軍事費の10%を国連ミレニアム開発目標達成のために使用
「ARMS DOWN(アームズダウン) !」とは、「腕」を意味する英語の「ARMS(アームズ)」には「武器・兵器」という意味もあり、「武器を(取り)下げる」という呼び掛けです。また、「上げた拳(こぶし)を下げる」とも理解できます。追って各教会所に署名用紙を届けますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。