日々家内心得の事
一、誠の道に入りながら心に誠なき事
恐るべし 恐るべし(御七カ条第六条)
「身も我も心もすてて天つちの
たったひとつの誠ばかりに」
この心は知れたことにはござ候えども、誠の本体は天照大御神のみ心なり。……例の誠は丸事にて、すぐに一心一体なり」(御文一四五号)。誠とは何かを単刀直入にお示し下さった御文といえます。
この御文の御歌は、一切の欲望を捨て切って、我を離れ、天地の誠と一つになるところを詠まれています。日露戦争の日本海海戦(一九〇五)で当時世界最強と言われたロシアのバルチック艦隊を対馬海峡で迎え討った連合艦隊旗艦三笠の艦上で、東郷平八郎司令長官(後の元帥)が飛んで来る砲弾を物ともせず吟じ続けていたと伝えられる御歌です。まさに東郷司令官は、天地の誠と一つになって日本を勝利に導いたものと拝察します。
「誠の道」とは、天照大御神のお道です。その大御神様のお道に入っていながらも、わが心に誠の無い危うさをご忠言下さっています。誠の本体は、お道の本体であり、大御神様の大御心です。本教における御日拝また祈りの根本原理もここにあるのです。そして、誠は丸事で大御神様の大御心とご一体であることをご教示下さっています。
なお、「誠を取り外すな」との御教語が「教えの五事」や「三十カ条」のいの一番に掲げられています。
また、教祖神のご一生は、ご両親への親孝行に始まりました。それはご両親の言い付けを守るとか、心配をかけないといったことに止まらず、生きながらの神となって世の病み悩み苦しむ人々をお助けしてご両親に喜んでいただきたいという孝心でした。すなわち「誠」とは、親がわが子を思う親ごころ、そしてそれに応えてつとめていく子供の孝心が誠の根本をなすといえます。
教祖神のご一生は、孝という誠に生き、孝に病み、孝に悟られたのです。それは「人は、大御神様のご分心(わけみたま)をいただく神の子」であることを体取し、そのご分心こそ〝誠の本体〟であることのご自覚でした。ですから、人は大御神様の大御心という大なる誠の中に生み出され、そのわけみたまたる小なる誠を生来与えられているのです。その誠を大きく養い育てるためにも「まること」の道、人のために祈り、尽くすことが強調されるゆえんです。