日々家内心得の事
一、神国の人に生まれ
常に信心なき事
恐るべし 恐るべし(御七カ条第一条)

 文政八年(一八二五)から十一年に至る「千日の御参籠」は、「天命直授」に匹敵するような、教祖神のご一生を画するものであったと伺います。この間に御七カ条(表紙裏に掲示)が制定され、お道が隆々と広まっていきました。

 五カ条は、教祖神ご自身の戒めとして作られたものですが、御七カ条は御参籠中に尊い神宣(託宣)を得て制定されたものといわれています。そして、門人にお道信仰の日々の指針としてお与え下さったのです。ですから私たち道づれが、日々家内中で実践するべき、信心徳目といえます。

 「神国の人に生まれ常に信心なき事」の第一条は、全七カ条の中心を成すものです。この世の全てのものは、天照大御神のご神徳により授かっていますので、常にご神徳の有り難きことを忘れず諸事万端、大御神様にお任せし、天道(大道)に背かぬようにすることが、神国の人として生まれた私たちの何よりのつとめなのです。

 「神国」とは、「大御神様のご神徳によって育まれている所」という意味で、日本の国だけを指しているのではありません。教祖神の御教えの核心の一つは、「人は、大御神様のご分心(わけみたま)をいただく神の子」です。天地宇宙の親神である大御神様の御恵みによって、生かされて生きているお互いです。とかく自力で生きていると勘違いしがちですが、常に忘れてはならないのは「おかげさま」という感謝の信心です。これこそが、信心の基であり、人としての歩みの根本です。

 また「信心」とは、「誠心」といえます。教祖神は「信心とは、誠の心なれば、一切、誠を離れぬ様に正道を守り行い、一事として天命にそむかぬが信心なり」(御教語)、さらに「信心とは、信ずる心─信す心─信の心」(御教語)とご教示下さっています。

 教祖神は千日の御参籠等を通じて、「人となるの道即ち神となるの道」(御教語)という、〝神人不二の信心〟をより一層に広く、深く体認体取されたものと伺います。そこで、御七カ条のいの一番に神人不二の教戒といえる「信心」についてお示しになったものと拝察します。