有り難き事を聞きつるこの春は
         有り難き事ばかりなりけり(伝いく夫人詠)

平成27年2月号掲載

 立教三世紀の立春を迎える今月の御教えは、教祖宗忠神令夫人いく様詠として黒住家に伝わる御歌です

 ご養父の病気平癒祈念のため毎朝今村宮に「はだし参り」をされるほど孝心の篤かった、いく様と教祖神(当時の御尊名は右源次様)が結婚なさったのは、文化3年(1806)の早春と伝えられています。ご夫婦の仲睦まじさは数々の御逸話(ごいつわ)からも学ばせていただけますが、いく様こそ教祖神の実質的な最初の門人であったともいわれます。「黒住教教祖伝」(黒住忠明前副教主様著、日新社発行)には、「日常教祖神のお側にあって、身をもって御教えをいただかれ、お宅でのお説教はもちろん、かなり遠方のお席にも、聴聞(ちょうもん)にお出かけになっている。また遠近からの参拝者に対して常に温かく接せられ、いわゆる説教ならぬ説教をもって、無言のお導きをなされた功績は大きい」と、正にいく様の内助の功が記されています。

 いつの春のことなのでしょうか…。いつも御教えに接しておられたいく様が、あらためて「有り難き事ばかりなりけり」と詠まれた純粋・素直な感慨一入(ひとしお)の御心を、新たな時代の立春に心新たに学ばせていただきたく思います。

 さらに、「神楽岡・宗忠神社ご鎮座百五十年記念祝祭」に始まった“祭り年”を締めくくる、「大元・宗忠神社ご鎮座百三十年記念祝祭」(10月10日、11日、12日斎行)の年である今年の修行目標は、昨年に続いて「お導きいただいて二百年 教祖様、ありがとうございます」です。
 この“祭り年”の4年間を振り返るだけでも、50年に1回、20年に1回、100年に1回、そして10年に1回という、掛け替えのない佳節に巡り合わせていただいた有り難き歳月でした。存分に、そして徹底して「ありがとうなる」日々を、自ら心掛けてわが“心の神”を養わせていただきましょう。