黒住教学院
黒住教学院 日用祝詞集 補遺
101.竈解体奉告祭典礼 (かまどかいたいほうこくさいてんれい) 【本典礼は、竈(かまど)を解体する際に用いる。】
(立礼) [ 竈を解体する御祭り ]    
     
一、斎主以下祭員参進列立   【参進する】
一、斎主神前に拝礼復席 一同習之 【拝礼する】
一、祓主祓詞を白す 一同馨折 【祓詞は祓戸 (大麻) 前で奏上する】
一、大麻行事 (神前・斎主・祭員・参拝者)   【修祓をする  順序に注意】
一、斎主大祓詞を唱う 一同和之 【大祓詞の奉唱 (いのりのことばの用意)】
一、斎主竈解体奉告祭詞を奏す 一同馨折 【警蹕あり (一人でつとめる場合は奏上後に発声する)】
  警蹕  
一、斎主玉串を奠ず 祭員自席列拝  
一、家長玉串を奠ず    
一、家族 (参拝者) 順次玉串を奠ず    
一、斎主清祓之儀 (まぶ を祓う)   【祓戸にある塩水を用いて「まぶ」を祓う】
一、斎主神前に拝礼復席 一同習之 【拝礼する】
一、斎主以下祭員退下   【退下する】
     
  以上  

○ 竈解体奉告祭詞

此の「地名・名称」「○○家」を仮の斎庭 (ゆにわ) と祓い清めて坐せ奉り斎き奉る
掛巻も綾に畏き天照大御神の大御前及八百萬神等教祖宗忠大神の大前  また此地をうしはぐ大地主大神 (おおとこぬしのおおかみ)
火具土神 (かぐつちのかみ) の大前を拝み奉りて  「職姓名」畏み畏みも白さく
此の「○○家」を時永く守護 (まもり) 給い鎮まり坐 (ま) す此の竈はしも  此度 (このたび) 事理由 (ことわけ) ありて解くこととなり計画 (たばかり) なすことにしあれば  大舟 (おおふね) の思いをいたして  厳 (いづ) の広庭 (ひろど) を打ち固めて  八十日日は多にあれども  今日を生日の足日と斎き定め  土曵 (つちひ) き均 (なら) し起工 (はじ) めて「○○家」の竈を解き奉らんとす  此斯 (かく) 申す状を聞召し相諾い給いて障ることなく過つことなく  法則 (のり) の随に工事は弥進みに進めしめ給ひて  厳 (いか) しく美 (うるわ) しく造成終 (なしお) えしめ給へと事の由を聞こえ上げ奉らくをさやかに  平けく安らけく聞召し諾い給ひ  永き年月の程此の竈を守り給いし大神には  その御神徳 (みいつ) を被り奉りし日々に感謝の真心を捧げつつ今日より後は天 (あめ) の元津御座 (もとつみくら) に  安く平穏に還 (かえ) り鎮まり坐 (ま) せ  安く平穏に還り鎮まり坐 (ま) せと畏み畏みも白す (警畢)

※「竈」は、おくどの神様などという呼称もあり、地域により名称も様々であるが、適宜祝詞中に挿入してもよい。

○ 「竈解体奉告祭」の意義

家屋解体にあたり、井戸の神様は水神であり、竈の神様は火神である。今回の場合だと、竈のみを解体するということで、「まぶ」は残すとのことである。
よって、本典礼の如きとした。なお、御社に奉斎するのは本教の懐中御神号であり、この御神号には天照大御神、八百萬神、教祖宗忠神の御神名があり、このうちの「八百萬神」の一柱である加具土神の神を拝むことによって、祭儀を執り行う。
神社神道ではひもろぎを差し立てて降神・昇神の儀を行うが、ここが本教との違いである。

○ 神前の配置

本典礼では、竈の前に三段案をしつらえ、最上位に御社を設け、その左右に榊立てを配し、二段目に (1)御酒御饌(中央) (2)鏡餅(左側) (3)鯛(するめでもよい。右側)を献饌し、三段目に (4)乾物(または野菜・果物。左側) (5)塩水(菓子でもよい。その場合は塩水を御酒御饌と同じ三方に備える。右側)とする。三段案の下には菰を敷き、神前背後には壁代で幕を引く。三段案の左右には当然、五色幟と三種の神器を設える。
続いて祓戸を設える。ここには当然、玉串も弁備する。ただし、竈のある場所はどの家庭でも狭い場所であることが予想されるので、最も広い台所などを斎場とするなど、適宜、臨機応変に斎場設置を心がけること。
なお、このお宅が御神前をお祀りしてある場合は、その御神前で祭儀を執り行い、清祓之儀をする時のみ、竈の前に行き、修祓を行うというようにしてもよい。

○ 神具

・懐中御神号   ・御社(御神号奉斎用)   ・三段案   ・菰  ・榊立て   ・榊 (御神前用)   ・五色幟並びに幟立て (必要な場合)   ・壁代 (かべしろ、必要な場合。斎場が狭い時は不要)   ・三方(六台、献饌用五台 玉串用一台)   ・大麻   ・献饌物(各種)   ・玉串(必要数要確認)   ・玉串案   ・塩水(“まぶ”を祓う際に用いる。塩は食塩を用いず、水は教会所において御祈念を込めた御神水を用いること)   ・祈りのことば (家族、参拝者用)

○ 備考

祓主の「祓詞」は通常の教会所祭典などで用いるものを「今日の○○祭仕え奉る」の箇所を「今日の竈解体奉告祭仕え奉る」に変えるとよい。
「まぶ」を祓う際に用いる塩水は、祓戸に弁備する。
したがって祓戸案には (1)大麻 (2)塩水 (3)玉串案の三台の三方が弁備されることとなる。
本教において「切麻」は地鎮祭の四方祓いの儀などで用いられるが、屋内の竈の有る場所で切麻を用いた場合、のちのちの便宜も考慮にいれ、塩と水で祓い清めるとする。

※「まぶ」水を引き入れる所謂用水路。

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PDF 竈解体奉告祭典礼 (1.25MB)

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