「広めよう、教祖様とのご神縁」

平成22年1月号掲載

謹賀新年

 平成庚寅(かのえとら)の新年を迎えました。昨年末の冬至大祭において、来る平成26年の「立教200年大祝祭」に向けた「趣意書」が発表され、いよいよ“世紀の御祭り”を目指して、お道づれの皆様と心新たに誠ごころを結集するスタートラインに立たせていただいた思いです。とりわけ、寅年生まれの私にとって、一層格別な思いで迎えた平成22年の正月です。本年も、どうぞ宜(よろ)しくお願い申し上げます。
 さて、本誌別掲の通り、去る11月27日に本教が当番教団として「第29回世界連邦岡山県宗教者大会」が開催されました。非常に内容豊富で示唆に満ちた大会であったと各方面から賞賛の声が上がったのは、ひとえに村上和雄筑波大学名誉教授をはじめとした講師各位と教主様との信頼の絆(きずな)がもたらした賜物(たまもの)でした。
 実は、翌日の28日に神奈川県川崎市の真言宗智山派大本山川崎大師平間寺(へいげんじ)において「第31回世界連邦平和促進全国宗教者神奈川大会」が開かれ、副大会長の任を預かっていた私は岡山大会の成果という“土産”を携えて全国大会に出席しました。開会に際しての挨拶で、私は唯一地方大会が毎年開かれている岡山大会が前日に行われたことを紹介し、宗派・教団を超えた世界大和(たいわ)の祈りが各地で、そして全国的に、さらには国際的な場でつとめられることの大切さと、その基本になっているものは常に一人ひとりの平和を希求する思いとその結集であることを話しました。昨年の第30回の記念大会が初めて沖縄の地で開かれ、その締めくくりの挨拶の中で、私は昭和天皇陛下の沖縄への想(おも)いを述べられたお言葉を紹介させていただきましたが(本誌平成21年1月号)、わが国の宗教者の代表が一堂に会して開かれる平和の祈りの式典で、たびたび重要なお役をつとめさせていただく光栄と責任の重さを感じています。
 今回の神奈川大会の講師として壇上に上がったのは、ドキュメンタリー映画「地球交(ガイアシンフォニー)響曲」の龍村仁監督と宮脇昭横浜国立大学名誉教授でした。まず、この日のために監督自らが編集しなおした「地球交響曲」が上映されましたが、映画の中で登場したのはチベット仏教のダライ・ラマ14世法王と、「地球はそれ自体が一つの生命体」とする「ガイア理論」の提唱者であるジェームズ・ラブロック博士でした。ご神縁をいただいて、ご両名と面識を得ていることを有り難く思っていますが、映画の中で紹介された、お二人がともに出席した21年前の国際会議が、私にとって初めて出席した国際会議であった英国オックスフォード大学での「グローバル・フォーラム」であったことは、思いがけない驚きであり感動でした。その後「信仰と自然環境」をテーマに行われた鼎談(ていだん)で、古来、日本の神道が重んじてきた八百萬神(やおよろずのかみ)信仰を「ガイア理論」を通して説明した龍村仁監督は、何度か神道山に参拝されたことのある本教とご縁の深い方であり、植物生態学者の立場から「鎮守の森は世界に誇れる日本人の心」と話した宮脇名誉教授は、神道山の緑化献木運動を直接指導して下さったご本人でした。
 本教からは、東京大教会所、松戸教会所、六本木教会所のお道づれが20名ほど参加して下さり、長男の宗芳も出席することができましたが、「まるで、黒住教が主催した大会のようでした」という声に象徴されるような、お道づれにとっても誇りと喜びを感じてもらえた大会となりました。
 教祖様のお導きによる確かな歩みとともに紡ぎ出される人との縁、こうした一人ひとりとの信頼の絆が本教の何よりの宝物です。本年からの修行目標「広めよう、教祖様とのご神縁」は、誠の心が個人から地域へ、そして国へ、世界へと広がってゆくことを願って呼び掛けられたものです。立教200年に向かって、ともに一層の誠を尽くしてまいりましょう。