国際貢献トピア岡山構想のめざすもの
RNN(アールエヌエヌ)(人道援助宗教NGOネットワーク)の可能性③

平成24年9月号掲載

 RNN(人道援助宗教NGOネットワーク)の発足時からの構成メンバーは、平成8年(1996)2月の中国・雲南省大震災に際して、緊急医療救援を行ったAMDA(アムダ)の活動を支えた宗教関係者です。信徒や檀家(だんか)・会員から届けられた救援物資を岡山空港に運び込み、被災地への搬送のための仕分け作業まで協力した“行動する宗教者・信仰者”のネットワーク化を、私が世話役として行ったのがそもそもの始まりでした。
 活動開始の切っ掛けがAMDA支援ですから、今もRNNにとってAMDAへの協力は欠かせません。「AMDA 現地(被災地)入り!」の報を受けると、直ちに全メンバーに緊急連絡して、自動的に募金活動が開始されることになっています。本教では主に「ありがとうございます運動」の浄財を速やかに活用させていただき、被害の状況によって各教会所での募金活動をあらためてお願いするようにしています。
 海外での活動が多いAMDAですから、協力といっても多くの場合は義援金(必要に応じて救援物資も)を届ける“後方支援”に限られますが、AMDAが緊急救援に続いて復興支援も行っている地域では、災害から一年後に地元の宗教者との合同慰霊祭を執行するために、スリランカやインドネシアなどの被災地を訪れることもありました。
 AMDAとのコラボレーション(協同・協働)に新たな展開が生まれたのが、昨年の東日本大震災以降の救援・支援活動を通してでした。
 居ても立ってもいられない思いで市中に飛び出したRNNの仲間たちは、袈裟(けさ)や法衣や法被(はっぴ)を身に着けて街頭に立ち、「AMDAを通して、特に乳幼児を抱えて被災した母親の救済に善意が役立てられる」ということを明確に示しながら、4月12日までの一カ月間にわたる募金活動を行いました。一方で、いわば雑用係としてAMDAに同行して被災地入りしたRNNメンバーの若き僧侶が、犠牲者の追悼という宗教者ならではの協力を要請されました。民間避難所の責任者として多忙を極める地元寺院の住職から、次々と運び込まれる遺骨や、安置所に並べられた亡骸(なきがら)への読経を依頼されたのです。
 私たちは、被災地での追悼の時刻に合わせて、岡山から祈り添えを行うべく他のメンバーに呼び掛けるとともに、震災から49日(50日目)の4月29日と一年後の今年3月11日に、本誌既報の通り神道山の日拝所において「RNN慰霊祭」を諸宗教合同で行いました。宗教者・信仰者のネットワークですから、RNNの活動の基本は祈りです。平成26年までの3年間、地震発生の3月11日午後2時46分の黙祷(もくとう)を中心にした合同慰霊祭を、神道山で継続して行う予定です。
 震災直後の被災地にメンバーが駆け付けたことが端緒になって、「災害時に被災地で必要とされる宗教者の使命」が、私たちRNNの新たな命題として明らかになりました。犠牲者の追悼に限らず、悲嘆に暮れる生存者への“寄り添い”も宗教者が為(な)すべき重要なつとめですし、宗派や教団の既存のネットワークが被災地での人的・物的な救援と支援に役立てられなければならないはずです。さらに、神社・寺院・教会・教会所といった宗教施設が避難所として必要とされることは、今回の事例を通しても明らかです。南海トラフを震源地とする大震災が、いつ、どこで起こっても不思議ではないといわれる今日(こんにち)、天地のご安泰と国土の平安を切に祈りながら、万が一の事態に備えておかなければならない時代でもあります。AMDAとの連携を一層強めながら、RNNとして必要とされる活動を展開していく所存です。