教務総長兼務就任のご挨拶

平成26年9月号掲載

謹賀新年

 昨年11月に「神楽岡・宗忠神社ご鎮座150年記念祝祭」を盛大かつ厳粛につとめ終え、20年に一度のわが国最大にして最高の御祭りである「第62回伊勢神宮式年遷宮」が斎行される平成25年を迎えました。いよいよ待望の「立教200年大祝祭」まで一年、そして“締めの御祭り”である「大元・宗忠神社ご鎮座130年記念祝祭」を明後年に迎えるという掛け替えのない“百年に一度”の尊き節目の時に、私たちは身を置かせていただいています。
 この、まさに“有ること難い”時に、私、教団の代表役員である教務総長という大役を仰せつかることになりました。今年5月の田中愼壹朗(しんいちろう)教務総長の任期満了を前にしての急な展開に、私自身正直なところ驚き、かつ黒住教副教主との兼務という前例のない重責に戸惑い身の震える思いですが、昨年11月に行われた教務総長推薦委員会の総意で推挙された御用(おんもち)えを教祖宗忠神より賜った御神命と承り、謹んでお受けすることにしました。そして、昨年末の本部神道山での冬至大祭の佳(よ)き日に、大教殿御神前において教主様より辞令をいただきました。
 幸いにして、心身ともに健康でいて下さる教主様がいらっしゃいますので、今まで以上のご指導をいただきながら、非力ですが精いっぱいの道の誠を尽くしてまいる所存です。お道づれの皆様には、何とぞ一層のご理解とご助力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
 教務総長就任とともに、私を支えてもらう教団当局を発足いたしました。それぞれの紹介は、本誌来月号に掲載されますが、前例のない体制ゆえに今までの仕組みを改めて、新たに「教団総務」と称する常勤と非常勤の役員を当局として任命して、私の片腕になってもらうことにしました。
 一般的な本社・支社による単体の組織とは異なり、宗教法人黒住教の教団組織は、包括法人である本部と被包括でそれぞれが単立の宗教法人である教会所が、“親子の関係”で成り立っている複合組織です。「現場の所長としての立場を活(い)かしながら、教団全体の取り運びに献身してもらいたい」との考えから、それぞれ布教と教務(教治)と財務を担当する3名の現職教会所所長を非常勤総務に任命し、同時に、日常の本部業務を主にしながら教団全体への対応を行う本部在職の布教部長と教務部長の2名を常勤総務に任命して、この5名の教団総務体制のもと、教主様のご指導をいただきながら教団運営に取り組むことになりました。
 ただ、ご推察の通り、神聖なる祈りを中心とする副教主という宗教者の立場と、実務を預かる教務総長の兼務は決して容易なことではないと思います。また、今まで以上に多用になることは間違いないわけで、自分自身の時間と健康の管理に一層の配慮が必要になると思います。率直に、違和感や心配・不安を感じる方も少なくはないことでしょう。それらのことは私なりに承知して覚悟の上で拝命したこの大役ですので、どうぞ親身のご指導・ご忠告を賜りますようお願いいたします。
 今の大きな節目は、教団の明日を決する時だと痛感しています。本教に限らず日本の伝統的な精神文化にとって大切な礎(いしずえ)であった地縁や血縁、郷土や先祖への思い、その他諸々(もろもろ)の風習・慣例といったものが全国的規模で弱まり、過疎と高齢化で村落は疲弊して、“大切な日本のこころ”をいかに次世代に繋(つな)ぐかは現代日本社会が抱える大問題です。この大問題を真正面から突き付けられているのが、今のわが教団の現状…というか窮状です。この度の御命は、再来年以降「立教300年」に向かって歩みを始める本教の舵(かじ)取りを任されたことだと思っています。あらためて、どうぞよろしくお願い申し上げます。