岡山商科大学での、RNNによる“宗教講座”
平成25年12月号掲載
私が事務局長として世話役をつとめるRNN(人道援助宗教NGOネットワーク)ならではの講座が、岡山商科大学(岡山市)で開講されています。「人と心による経営」と題された同大学の経営学特殊講義で、平成25年度後期の授業をRNNのメンバーが分担して行っているのです。
そもそもこの講義は、(社)岡山経済同友会が18年前から地元の企業経営者を講師として派遣して毎年行ってきた特別講座です。経済団体が担当する商科大学の授業ですから、本来宗教者の出番はないところですが、私が副委員長として同友会の教育問題委員会に所属していることから、「経営に活(い)かすべき諸宗教の教えを講義してもらいたい」ということで、私が取りまとめ役になって初めて実施されることになりました。
私立大学とはいえ、日本の一般大学で“宗教”の講義を宗教者が任されるのは稀有(け う)なことなのだそうで、岡山における本教の信頼の厚さをあらためて有り難く思いました。しかし、何せ「経営学」の講義ですから、私を含めてRNNのメンバーが趣旨に沿う授業をできるのか、その前に彼らが講師を受け入れてくれるのか、少なからぬ不安を感じながらのスタートとなりました。
幸いにして、メンバーたちは講座の趣旨を前向きに受け止めてくれて、去る10月16日の私の講義を皮切りに講座は順調に進んでいます。
まず私は、宗派・教団を超えて“協働”してきたRNNの活動を紹介するとともに、経営という“物事(事業)の取り運び”の基本である人および心の在り方は、実はどの宗教も共通して説く教えで、宗教を学ぶことは社会人として経済人として実社会で必ず有効なことであるという観点から、自著の「道端感謝」(日新社発行)を元に最初の講義を行いました。
私の後は、日本人に馴染(なじ)みの薄いイスラームの伝統を日本人ムスリマ(女性のイスラーム信者)が紹介し、続いてキリスト教の講義をコンゴ人とベルギー人の二人の神父が流暢(りゅうちょう)な日本語で行い、真言宗と天台宗の僧侶による仏教の教義、さらに金光教の教えが紹介された後に、締(し)め括(くく)りの最終講義を再び私が行います。ちょうどその日が、教主様と共にお道づれの皆様と式年遷宮後の伊勢神宮に新年の初参りをする明年1月20日という絶妙のタイミングなので、伊勢から大学に直行して日本の神道について語り、その上で「黒住教のあらまし」(黒住教本部発行)を用いて黒住教について講義して一連の講座を締めくくる予定です。
最後に、180人の大学生たちから私の最初の講義に対する感想が届きましたので、印象に残ったものをいくつか紹介させていただきます。
「私は宗教という言葉に全く無関心だったのですが、今日の講義で黒住先生の話や配布された冊子を読んで、宗教が目の前で困っている人たちなどに本当に温かい心で接するというところに感動しました。宗教に関わっている人たちの、純粋に人を思いやる心が素晴らしいと思いました」。
「人との関わりの上で、自己を確立して相手を思いやって接することが大切なことだということを学びました」。
「普段の生活の中で自分自身が宗教に対して絡みがあるのは法事や葬式だけなので、それだけしか宗教の出てくるところはないと考えていましたが、日常の生活から自分自身を見つめ直して生き方を改める教えなのだということを知りました」。
「冊子を読んでみて、とても良いことが書かれていて、家に帰ってからもしっかり読んでいきたいと思った。仕事やプライベートで、人のためを思って頑張っていこうと思った」。
「黒住教は、他の宗教と分かち合って協力する宗教で、安心して接することができることが分かりました」。
「冊子の中に『相性の悪い人や好きになれない人の中に、自分にはないユニークな点を探してみよう』という言葉を見て、今まで付き合いたくないという“逃げ”があったが、考えを改めて新しい発見をしようと思った」。
「宗教に対するイメージがかなり変わった」。