孝行は、何より天のおよろこび（御教語）

　仏教においては、天地の創造主としての神の存在を否定し、因果応報（業（ごう）・カルマ）のはたらきの中で一切のものが生まれたとされています。過去における善悪の業に応じて、現在の幸・不幸の果報（かほう、前世の行いの報（むく）い）が生じ、現在の業に応じて未来の果報を生じるとされていて、人間もその仕組みの中で誕生したと教えます。

　また、キリスト教では、創造主で有るＧｏｄ（ゴッド、神）によって万物が造られ、人間もその神の意志により造られた被創造物の一つであるとされています。

　どちらも尊い教義ですが、私たちの教祖宗忠神の御（み）教えとは、根本的に異なっています。星島良平高弟著の「教祖宗忠神御小伝（ごしょうでん）」にある「道の理（ことわり）」の一節に、
「凡（およ）そ天地の間に万物生生（ばんもつせいせい）する其元（そのもと）は皆、天照大御神なり。是（これ）万物の親神にて、其（そ）の御陽気天地に遍満（みちわた）り、一切万物光明温暖（ひかりあたたまり）の中（うち）に生生養育せられて息（や）む時なし。実に有り難き事なり。各体中（おのおのたいちゅう）に暖気（あたたまり）の有るは、日神（ひのかみ）より受けて具（そな）えたる心なり。心はこごると云（い）う義にて、日神の御陽気が凝結（こりこご）りて心と成るなり」
とあります。

　現代語にしますと、
　「天地自然の中のすべての生命の大元は、天照大御神です。大御神は万物の親神で、そのご陽気（ご神徳）は天地に満ち渡り、すべての生き物が御光（みひかり）と温もりの中で生成養育されて止（や）むときはありません。実に有り難いことです。私たちに体温があるのは、大御神からご分心をいただいているからです。心は“こごる”という意味で、大御神のご陽気が凝結してご分心になるのです」（教主様著「道端感謝」より）となります。

　天地宇宙万物の“親神”としての天照大御神と、大御神様のご分心（みわけみたま）をいただく“神の子”としての人間の存在を明らかにお示し下さっています。それは、“天命直授（てんめいじきじゅ）”と称（たた）える宗教的神秘体験を経て、教祖神が“体取”された御教えです。

　子が親を慕い真心（誠）を尽くす“孝行”こそ、本教ならではの信仰姿勢であり、大御神様ご一体の教祖神がお喜び下さる道なのです。