20周年を迎えたRNN
平成28年4月号掲載本稿先月号で触れましたように、私が世話役の事務局長をつとめている“諸宗教協働連合体”のRNN(人道援助宗教NGOネットワーク)が、今年発足20周年を迎えました。本誌平成24年(2012)4月号から数回に分けて「RNNの可能性①~⑤」と題して掲載しているので再読して下されば幸いです。当初は、「国際貢献トピア岡山構想のめざすもの」と題した書籍向けに著した文章でしたが、結果的に本教とご縁の深い国際医療NGOのAMDAから出版された「AMDA 被災地とともに!」(小学館スクウェア発行)に記載されました。いずれにしても、「祈りに基づく行動と行動を伴う祈り」を共通理念にした宗教間対話と宗教協力による人道援助活動を、地元岡山から世界に発信する思いで展開してきたRNNが、20年の歳月を重ねることができたことを大変有り難く思っています。
20年の節目を前にして、先月も紹介しましたように、これまでを振り返って今後の展望を図るべく、昨年の4月から一年間にわたってFMくらしき(倉敷市)で「心ひとつに!RNN」という月一回の番組を放送させていただきました。真言宗、天台宗、金光教、イスラーム、カトリック、立正佼成会、そしてAMDA等の今まで一緒に活動してきたRNNの仲間たちの代表に毎回交代で登場してもらって、大いに語り合いながら、宗教協力と対話の意義と楽しさを公共の電波を通じて発信することができました。今までの放送内容はRNNのホームページ(http://rnn.jp/)で公開していますので、一度聞いてみて下さい。
活動20周年を迎えて、「RNNならではの取り組みができないか…」と思いを巡らせていたところに、まさに“おあてがい”をいただいたのが、別掲の常住寺(天台宗)の復興プロジェクトでした。(本誌25ページの「教主様が除幕式をおつとめ 葉上照澄大阿闍梨顕彰碑」をご参照下さい)
そもそも常住寺は、岡山藩主池田家の祈祷所として18世紀初頭に建立された上野の寛永寺の末寺で、大正期に現在の東山山腹(岡山市中区門田文化町:岡山国際ホテル近く)に移築された由緒正しき天台宗寺院で、五代様、現教主様とも親しかったわが国の宗教界の大先達・葉上照澄師が長らく住職をつとめられていました。しかし、この20年近くは寺院名とはうらはらに“無住”状態が続き“荒れ寺”になっていました。そうした中、昨年岡山教区の責任者として住職代務に就任した天台宗僧侶の永宗幸信RNN委員長が復興を計画するに及んで、世界連邦日本宗教委員会の生みの親として日本宗教界の重鎮でもあった葉上師への恩返しという意味からも、「RNNとして、少しでも宗教協力させていただこう」という運びになったわけです。
その第一弾が、葉上師を顕彰する石碑の建立でした。碑文は教主様が「光栄なこと…」と快諾され(本誌6月号に全文掲載される予定です)、師の祥月命日である3月7日に、別掲の通り教主様にご列席いただいて晴れて除幕式が行われました。今後、お道づれの皆様に直接の協力をお願いするつもりはありませんが、世界連邦日本宗教委員会や世界宗教者平和会議(WCRP)にも広く呼び掛けて賛同を募って、RNNならではの協働事業を展開したいと考えています。
実は、岡山市街を見渡せる常住寺からの眺めは素晴らしく、遥か西方に神道山も望めます。かつて、大元・宗忠神社建立に際して黒住教元副管長の森下景端高弟が主張された“東山説”は、「この地だったのではないか…」と思われるほどの場所です。地元住民の方々も常住寺が整備されることを大変喜んで、わが事として協力して下さっています。20歳を迎えたRNNが、地域に根差した宗教協力の良き実例の一つとして社会に貢献できることは、宗教者としての私の使命であり喜びであると思っています。