有り難や かかるめでたき世にいでて
楽しみ暮らす身こそ安けれ(御歌四二号)
この御神詠は、御文一六〇号の中にも記されていて、同御文は、心一つの用いようで苦にも楽にもなることをご教示下さっています。その宛名は切り取られていますが、一森彦六郎氏(岡山藩士、馬役百二十石。教祖神より二十七歳年若)に出されたものと伝えられています。一森氏は、「教祖様の御逸話」(日新社刊)所収の「一森氏馬術の奥義を悟る」に登場していて、教祖神は弟子というより、わが子に対するような思いで教導されていたと伝えられています。
「一々天命と存じ奉り候えば、有り難きことばかりにて暮らしおり申し候。時に一首
有り難やかかるめでたき世にいでて
楽しみ暮らす身こそ安けれ
心一つにて苦楽はかって次第なり。苦になることも天に任せ、自然をまつときは、そのあとは楽の種子なるべし。よくよく天命の有り難きことを、日々取りはずさぬよう遊ばさるべく候」(御文一六〇号)。
すなわち、「一切何事も天命と思うならば、有り難いことばかりであると感謝して暮らしています。時に一首、
ああ、有り難い。このようにご神徳に満ち溢れた、めでたいこの世に生まれ来て、そのご神徳に感謝して、日々を楽しみ暮らすことこそ、まさに大安楽です。
心一つで、苦しみも楽しみも思うままです。苦になることも天に任せ、自然をまつ時には、やがて楽しみの元になります。よくよく天命の有り難いことを日々取り外さないようになさって下さい」といった意味で、「天命の有り難さ」を強調されています。
一切何事も、天照大御神のお計らいです。そして、大御神様は、万物を産み出してお育て下さる親神様ですので、大御神様のご分心(わけみたま)をいただく神の子である私たちに決して悪いようになさるはずがありません。ですから、天命に従い、大御神様にお任せすることが大事です。
教祖神は「丸任せにせよ」と仰せの上で、決して「捨て任せにすな」とご忠言下さっています通り、わが努力を全くしないでただ委ねているのでは、〝真のお任せ〟とはいえません。〝感謝の誠〟を持って「天に任せて人事を尽くす」、お道人生を歩んでまいりましょう。