誠は丸事にて
すぐに一心一体なり(御文一四五号)

 令和二年と三年の修行目標は〝奉仕の誠〟を基として、教主様より「活かし合って取り次ごう! 〝まること〟の丸い心 丸いはたらき」をお示しいただきました。

 教祖神の代表的な御教えの一つである「まること」とは、平和・円満・完全・おおらかさといった意味ととも に、大生命の大いなるおはたらきである天照大御神のご神徳をそのままに表されたものです。しかも「まること」の「る」の文字が約まって「誠(まこと)」になったと説かれました。そして、天地宇宙のおはたらきである大御神様の御心は、人にあっては「誠」であると仰しゃっています。

 「人は、天照大御神のご分心(みわけみたま)をいただく神の子」との御教えが、本教の教義の中核をなすものですが、「誠」を尽くすということは〝まることの循環〟に沿って生きることです。また、生命のはたらきとしての「まること」は大自然の循環活動であり、大御神様のすべてのものを〝活かそう、育てよう〟という御心にのっとったはたらきです。

 その循環作用を断ち切ることのないように、丸く明るく生き生きとして流れに沿った〝人の行い〟は、天地宇宙すべての物と調和して順調によい方へよい方へと進んでいきます。ですから「誠」=「まること」を尽くす生き方がご分心を養う道であり、その「ご分心」=「大御神様」のおはたらきを得て〝開運の道〟を歩むことになります。「誠は丸事にて、すぐに一心一体なり」、すなわち「誠は丸事(○事)ですぐに天照大御神様と一心一体です」なのです。

 この御教えが記されている御文一四五号には、「身も我も心もすてて天つちのたったひとつの誠ばかりに」との御歌がありますが、日露戦争の日本海海戦(明治三十八年・一九〇五)でロシアのバルチック艦隊を、対馬海峡で撃破した日本連合艦隊の東郷平八郎司令長官(後に元帥)は、海戦の最中、旗艦三笠の艦上で飛んで来る砲弾をものともせず、この御歌を吟じ続けていたと伝えられています。

 まさに、「臆病と疑い」を去り、「誠ひとすじ」の姿であったと拝察します。