奉祝 立教二百十年・神道山ご遷座五十年
教主 黒住宗道
この度、「黒住教立教二百十年・神道山ご遷座五十年記念大祝祭」を、多くのお道づれの皆様とともに有り難くつとめ終えることができました。まさにご同慶至極。歓喜と感激と感謝の心のままに、あらためて私が黒住教教主就任に際して発布いたしました「告諭」と、この度〈その二〉として新たに発表した「示達」を、ご精読いただきたく存じます。
告 諭
「まることの世界」の実現を目指して
奉祈 人皆の心の神の御開運
天照らす神の御徳を取り次ごう
互いの誠を活かし合って
平成二十六年(二〇一四)、「まることの世界」の実現を目指す私たち黒住教は立教二百年の嘉節を有り難くつとめ終え、いま立教三世紀の歴史を刻んでいます。満八十歳を迎えられた第六代教主様より尊き道統を継承し、ここに 宗道 黒住教第七代教主を拝命するにあたり、「告諭」をもって本教の社会的使命を謳い、黒住教教徒・信徒のお道づれ各位に “元気陽々”と開運の道を歩まれんことを呼び掛けるものです。
そもそも、私たちの尊崇する教祖黒住宗忠神は文化十一年十一月十一日(旧暦)の冬至の朝日を拝して「天命直授」という至福の宗教的神秘体験を得て、天地の親神たる天照大御神の生々発展の “日の御徳”を明らかにされました。両親への孝一筋に生き、孝深きがゆえの辛苦を孝により救われ、ついに天地の親神への孝を悟った御教えは、日本古来の神道の教えの大元と称えられてきました。森羅万象、全てを掛け替えのない神のはたらきと崇める八百萬神信仰は神道ならではの大らかな伝統ですが、人皆に本来内在する神性・霊性を「天照大御神の分心」と称して「人は皆、天照大御神の分心をいただく神の子」と明言された教えの神髄を信じ切って、わが心の神たるご分心の御開運を祈り、ご分心の座所であるわが心を養い育てるべく誠を尽くして生きることが、「人となるの道すなわち神となるの道」である黒住教の生き方です。
いま世界はあらゆる分野で細分化・個別化が進み、個を基本とした価値が科学技術の恩恵によるネットワークで結ばれて成り立っています。便利で快適な生活は多くの人々に物質的な豊かさをもたらしましたが、格差の拡大と常に満たされない不足感の鬱積、そして利己主義の蔓延は顕著になるばかりで、精神的に豊かな社会とはとても言えません。個を基本とした価値が優先されればされるほど、互いの個性を尊ぶ思いやり・慮りが今まで以上に必要であることは明らかです。冒頭に掲げた「まることの世界」とは、人の誠に顕れる心の神のはたらきが一層現出されて、全ての人々が和やかに共に栄える理想の世界です。「人は元来、罪の子でも穢れの子でもない。ご分心をいただく尊い神の子」と信ずればこそ、人皆の心の神のはたらきが大いに発揚されることを願って、ともに祈り合い、互いの誠を活かし合って“日の御徳”を取り次ごうと呼び掛けさせていただくのです。
黒住教にとって「祈りは日乗り」です。教祖神は「神を拝むには、時刻に拘らず、朝日に向かう心にて拝むべし」とも御教え下さっていますが、「日乗り」とは「日の神と一つになって祈ること」であり、「日々祈ること」です。日の出前からの日拝は難しくても、毎日欠かさず朝の御光に向かって感謝の祈りを捧げて、人皆の心の神の御開運を祈りましょう。そして、時刻に拘らず一本でも多く大祓詞を唱えて心を祓い、御陽気をいただいて “日の御徳”を下腹に納める鎮魂の行につとめて下さい。心が生きれば形、すなわち体も生きてきます。心の神のはたらきで、元の気である元気が漲り、陽気が満ちてきます。とりわけ「人のために祈る」ことで、 “日の御徳”が自他共に取り次がれます。「日乗りなる祈り」は、「まることの世界」の実現を目指す黒住教の原点です。
その上で、「互いの誠を活かし合う」という “在るべき姿”と、「天照らす神の御徳(日の御徳)を取り次ぐ」という “為すべき行い”を、三世紀を歩む黒住教の二本柱として示したいと思います。
世代を超えて、国・民族を超えて、あらゆる違いを超えて、それぞれの持ち味を全て心の神の顕れと信じて活かそうとする姿勢は、「天照らす神の御徳は天つちにみちてかけなき恵みなるかな」と詠んで「一切神徳(全ておかげ)」を説かれた教祖神の御教えの大元です。そして、“日の御徳”の有り難さを一人でも多くの方に知らせて、しっかり取り次ごうとする行為は、「天照らす神の御徳を世の人に残らず早く知らせたきもの」と生涯を通して願われた教祖神の御聖願に沿い奉る私たちのつとめです。
昭和四十九年十月の神道山時代の幕開け以来、私たちは祈りという縦軸と奉仕という横軸を基軸として様々な宗教活動を重ねてまいりました。その源泉が、日々感謝の誠を捧げることを通じて自らに “有り難い”心を養い、もってお互いが心ひとつに世のため人のために奉仕の誠を尽くす「ありがとうございます運動」でした。この有り難い信仰運動は、今後も不変・不動の本教の社会活動のエネルギー源です。
時代は、健全な心を育む宗教的叡智を求めています。「日の本つ国」ならではの信仰が教祖宗忠神によって説き明かされた「黒住神道」ともいうべき本教は、現代日本人が必要とする「いのちの宗教」であり「生きる教え」です。第六代教主様は「人は人に尽くして人となる」と御教え下さいました。ともに誠を錬って鍛えて開運のおかげをいただき、誠を尽くして活かして道の楽しみを得られる人の一人でも多からんことを願い祈るものです。
守られて幸わう“道の祈り”
一切神徳 神徳昭々
錬誠開運 尽誠道楽
(何度も繰り返し)
教祖様、有り難うございます。
守り給え幸わえ給え。
平成二十九年九月十八日
黒住教教主 黒住宗道
示 達 〈 その二 〉
全国の黒住教教師とお道づれの皆様に申し上げます。
私は第七代教主就任に際して「告諭」を発布し、「まることの世界」の実現を目指すことを教団内外に対して宣言させていただきました。そして、告諭の精神を次の祈りの詞に集約し、その「心構え」と具体的な実行例を添えて、改めてご理解いただきたくお示しします。
奉祈 人 皆の 心の神の 御開運
天照らす 神の御徳を 取り次ごう
互いの誠を 活かし合って
〈 心構え 〉
私たち黒住教お道づれは、「活かし合って取り次ごう!」を合言葉に、全ての人々の“元気”を喚起して、世の中が和やかに共に栄える「まることの世界」の実現を目指します。とりわけ、病み悩み苦しむ人のために「祈りと奉仕の誠」を尽くし、教祖宗忠神のお守りとお導きを信じて自らの信仰心を養い、御教えの励行を心掛けます。そして、共に「まることの世界」の実現を目指す「まることの人づくり」につとめます。
〈 御日拝の推進 〉
霊地大元からご遷座して半世紀の歳月を重ねる「お日の出の郷 神道山」での御日拝を、一人でも多くの方と分かち合いましょう。二百年以上にわたって一日も欠かさず行われてきた「お日待ち」の御日拝を通じて、世界大和と万民和楽を祈り続けている黒住教に誇りを持ち、神道山はもとよりそれぞれの場所から、毎朝の御光に向かって感謝の祈りを捧げ、その行為を次世代の方へも伝えてください。『GO! 日拝!』
〈 「有り難い!」を、もっと身近に 〉
告諭で呼び掛けさせていただいている取り組みを推進するために、自らの「ありがとうなる心」を育て、自分以外の人や社会のために行動できる人々が増えることを願っています。一人でも多くの方に「日の御蔭」という“おかげ”を実感していただき、「有り難い!」という歓喜・感激・感謝の心で、自分のできることや得意なことを実践してください。そのことによって、「ありがとう」の心がさらに世の中に満ち溢れると信じています。
次なる節目は、令和十二年の「教祖神ご降誕二百五十年」です。皆様方が、心身ともにお元気で開運の道を歩み続けられることをお祈り申し上げます。