「お道づれ(教徒・信徒)」=「学び徒(と)」
教主 黒住宗道

平成30年7月号掲載

 立教以来200年以上にもなると、本教独自の言葉(用語)の使われ方にも地域差が生じがちです。黒住教(お道)を信仰する方を総称する「お道づれ」について、まずは正しく理解しておいていただきたいと思います。家宗(家の宗教)が黒住教の方が「教徒」、家宗は他宗(多くは仏教)ながら先祖・親・本人の信心により黒住教を信仰している方が「信徒」で、「教徒」と「信徒」の総称が「お道づれ」です。慣習的に「教徒」と「信徒」が混同され、「信徒」を「お道づれ」と称している方(地方)が今もありますが、そろそろ認識を改めていただきたく存じます。なお、教祖宗忠神の説き示されたお道を連れ立って歩む同胞(はらから、仲間)という意味での「お道づれ」ですから、決して「お道ずれ」ではありません。

 前置きはさておき、本稿で私は、教主として新たな言葉(用語)「学び徒(と)」を提示します。「神道の教えの大元」と称(たた)えられてきた黒住教の「お道づれ」として、すべての「教徒」と「信徒」の皆様に、「学び徒」としての自覚と喜びをもって本教の教えを意欲的に学んでいただきたいと願っています。

 この道は、「誠之道」すなわち「誠が道」であり「誠の道」です。「天地の誠」が互いの心の神たる天照大御神の分心(ぶんしん、わけみたま)と不二(ふに)一体(二つでなく一つであるということ)を、天照大御神とご一体の教祖宗忠神が説き明かして下さった「生々(せいせい)の大道」です。一切万物、すべてを生かし育(はぐく)む大生命力のおはたらきを活(い)かして、幸多き心豊かな人生をいかに生きるかが教え示された開運の道(生き方)です。

 今、こうして「日新」誌を開いて教主の説く「道ごころ」を心読・熟読して下さっている読者各位は、すでに立派な「学び徒」です。「学び徒」になるための資格云々(うんぬん)ではなく、この道の教えを自分自身のより良き人生に活かしたいという意欲のある“学ぶ人”は、皆「学び徒」なのです。教祖神は「生きるが大御神の道、面白きが大御神の御(み)心なり。教(おしえ)は天より起(おこ)り、道は自然と天より顕(あら)わるるなり」(「道の理(ことわり)」)と御教え下さいました。「宗教の教義に『面白い』という言葉が用いられる例は類を見ない」との宗教学者の指摘を、それこそ「面白い!」と思って聞いたことがありますが、「面白おかしく」というよりも「興味と関心をもって陽気に」と学ぶべき「面白い」を、「学び徒」の意欲の源にしてもらいたいのです。

 「お道づれ(教徒・信徒)」=「学び徒」と意識して、「興味と関心をもって」道を求めると、必ず道は開けてきます。すなわち運が開きます。自然と陽気に有り難くなってきます。私が副教主として著(あらわ)した「黒住神道 −いのちの親の七光り−」の7冊(教主就任に際して発行した「錬誠開運」を含めると8冊)の小冊子は、自(みずか)ら道を求めることで自(おの)ずから道が開く開運の道標(みちしるべ、道知便)です。どうか何度も熟読して、「学び徒」であることの喜びと充実を実感していただきたいと念願します。

 その上で、黒住教学院・教学局が推し進める通信講座(普通課程・教師課程・教書課程)や神道山・養心塾“道のいろは”(週末の短期研修)、さらに黒住教学院専修科(百日間の修行課程)、また各地で開催されるお道講座等を進んで受講して、「学び徒」としての磨きをかけて信仰を深めていただきたく思います。

 実は、年2回、3月末と6月末に発行される通信講座受講修了生の会報紙「道のひかり」に、本誌上で正式に発表する前でしたが「学び徒」について記して、今後同会報紙への教主の巻頭言は《学び徒への便り》と冠を付けて寄稿させてもらうことを、去る6月22日発行の「道のひかり」第99号紙上で発表したばかりです。毎年4月に開講して翌年3月に修了する通信講座普通課程(入門コース)と、7月に開講して翌年6月に修了する通信講座教師課程(第二専修科)の、各課程の修了時に発行される「道のひかり」がいよいよ第100号を迎える絶妙のタイミングで、教主の「道ごころ」にて「学び徒」各位に通信講座の案内をさせていただけることを有り難く思いますが、今、本誌「日新」を読んで下さっている方は皆、普通課程の受講を本気で考えて下さい。一年間のコースを修了した受講生が共通して口にするのが、「受講するまでの敷居の高さ」と「受講して初めて分かったお道の有り難さと喜び」です。リポートを書くことが苦手な方も、そもそも活字を読むのが億劫(おっくう)な方も、誰もが御教えから何かを学んで心境の変化を感じられているようです。提出が遅れても、回答の字数が少なくても、課題に向き合って考えを巡らすことによって必ず教祖宗忠神のお導きをいただかれているのです。

 教主就任に際して「告諭」とともに発表した「示達」の中で、私は「共に『まることの世界』の実現を目指す『まることの人づくり』につとめます」と明示しました。まずは、本教のすべてのお道づれが、自らを「学び徒」と自覚して、教祖宗忠神に一歩でも近づく心意気をもっていただくことが「まることの人づくり」の第一歩であると確信しています。

示 達(抜粋)
【心構え】
  私たち黒住教お道づれは、「活かし合って取り次ごう!」を合言葉に、全ての人々の“元気”を喚起して、世の中が和(なご)やかに共に栄える「まることの世界」の実現を目指します。とりわけ、病み悩み苦しむ人のために「祈りと奉仕の誠」を尽くし、教祖宗忠神のお守りとお導きを信じて自らの信仰心を養い、御教えの励行に心掛けます。そして、共に「まることの世界」の実現を目指す「まることの人づくり」につとめます。

  《編集部注》普通課程のご案内=35ページ。教師課程のご案内=14ページ。